日々の生活やビジネスの現場で欠かせない「包装資材」。
商品を包み、守り、魅せる——そんな資材の裏側には、実は多くのプロフェッショナルが関わっています。
そこでこの記事では……
・メーカーってどこまで作ってるの?
・卸や資材屋って、何をしてるの?
・業界全体の流れや今後のトレンドって?
といった疑問を細かく解説していきます。
包装業界に携わるプロの視点から、メーカー・卸・小売(資材屋)それぞれの役割と仕事の流れを確認していってくださいね。
またSDGs対応やeコマースの拡大といった最新トレンドにも触れながら、これからの包装資材業界の姿に迫っていきますので、
「資材のことをもっと知って、仕入れや選定に活かしたい」
「業界の裏側に興味がある」
といった方もぜひ最後までご覧いただければ幸いです。
包装資材業界の全体像とは?

そもそも「包装資材」とは?
包装資材とは、商品を包み・守り・運び・魅せるために使用される、あらゆる素材や道具の総称です。
代表的なアイテムには以下のようなものがあります。
・段ボール、化粧箱(輸送・陳列用)
・包装紙、ラッピング資材(装飾・ブランディング用)
・緩衝材、ストレッチフィルム、PPバンド(破損防止)
・テープ類、ラベル、封緘シール(梱包固定・情報表示)
これらは業種・商品特性・用途・コスト・環境配慮など、多様な観点から適切に選定される必要があります。
包装資材業界は、食品、医療、化粧品、工業、アパレル、日用品、EC通販など、ほぼすべての業界に関与しており、日本国内でも年商数兆円規模の巨大市場を形成しています。
資材の分類
資材は「素材」や「形状」によって以下のように分類されることが多いです。
・紙系資材:クラフト紙、ボール紙、コート紙など
・プラスチック系資材:ポリ袋、フィルム、トレー類
・金属・ガラス系資材:缶、瓶など(主に一次包装)
・複合素材・環境対応素材:バイオマスフィルム、紙+PLAなどのSDGs資材
資材の種類を体系的に理解することで、用途に応じた最適な選択がしやすくなります。
包装資材がエンドユーザーに届くまでの流れ
包装資材の流通構造は一般的に以下の三層に分かれています。
①メーカー(製造元)
原材料から包装資材を製造し、大ロットで提供。
段ボール工場や化成品メーカーなどが該当します。
設備投資やロット管理の負担が大きく、製造ロットが数千〜数万単位になることも多いです。
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②卸業者(商社・代理店)
メーカーから仕入れた資材を、地域や業界に応じてロットを分割・在庫管理しながら販売。
倉庫を持つケースも多く、小売店や資材屋との取引を担います。
価格調整や商品構成、在庫リスクの調整役も果たします。
③小売(資材屋)
飲食店、雑貨店、EC業者、個人ユーザーなどに向けて小口販売・即納・提案対応を行う最前線。
店舗運営やオンライン販売を通じ、「どの資材を選ぶべきか」相談に乗る提案型営業も重視されます。
以上の三者が連携することで、必要なタイミングに必要な資材が届く包装資材のサプライチェーンが成り立っています。
包装資材メーカーの役割と仕事

メーカーが扱う資材と製造工程
包装資材メーカーは、包装・梱包に用いられる素材そのものを「原料から製品」へと加工・成形する役割を担っています。
取り扱う資材は非常に幅広く、それぞれに特有の技術・機械設備が必要です。
代表的な資材の分類と製造内容は以下のとおりです。
1.フィルム資材(OPP、PE、PETなど)
透明フィルムやバリアフィルムといった製品は、食品や医薬品の包装に多く使われます。
・製造方法:押出成形 → 延伸加工 → ラミネート → 印刷 → スリット(切断)
・特徴:防湿性や密封性に優れ、印刷適性も高い
2.紙系資材(クラフト紙、コートボール、段ボールなど)
再生紙やパルプ原料を使って段ボール原紙や包装紙を製造。
・製造方法:抄紙 → 表面加工(ニス引き、PEラミ) → 打ち抜き →製函
・特徴:環境配慮が求められる場面での採用が多く、用途に応じた厚み・強度調整が可能
3.化成品(発泡スチロール、プラ容器、トレー類など)
軽量で衝撃吸収性のある製品は、鮮魚や青果、精密機器の包装に活用されています。
・製造方法:発泡成形 → 真空成形 → 切断加工
・特徴:成形の自由度が高く、コスト面でも優位性がある一方、脱プラの動きに直面中
これらの製造には、一定量以上の生産ロットが求められることが多く、中小規模では初期設備投資・在庫管理・品質管理の難しさが常につきまといます。
生産効率と柔軟性の両立が、メーカーの腕の見せ所ともいえます。
メーカーが抱える課題と業界動向
近年、包装資材メーカーが直面している主な課題と業界トレンドには以下のようなものがあります。
1. SDGs・脱プラスチックへの対応
・バイオマスフィルムや紙素材への切り替えが急務
・リサイクル可能な単一素材への需要が拡大
・法規制(プラ資源循環法など)への対応が製品開発に影響
2. 原材料費の高騰と供給不安定
・石油由来素材(PE、PPなど)やパルプ価格の乱高下
・海外からの原料調達リスク(円安・紛争・自然災害)
・価格転嫁の難しさと企業努力のジレンマ
3. 工場の老朽化・人手不足
・中小メーカーを中心に、熟練工の高齢化と後継者不足が深刻
・デジタル化・自動化の波に乗れない工場も多く、設備更新が課題
・省人化のためのロボット導入やDX投資も増加傾向
一方で、環境対応型製品や機能性フィルムなど、技術力のあるメーカーは国内外で再評価される動きも顕著です。
とくにOEM製造やPB(プライベートブランド)対応を柔軟に行えるメーカーは、BtoB市場において高く評価されています。
I Love Paper Bagでは、こういった課題に対し、メーカーとして業界内の横のつながりを大切にし万一の際にお客様にご不便がかからないように対策をとっております。
また原材料費の高騰などがあった場合も弊社で一部負担をし、コスト面でのお客様のご負担が極端にアップしてしまわないように工夫しております。
そしてSDGs・脱プラスチックへの対応も行い、生産の対応も可能になっています。
包装資材卸の役割と仕事の流れ

メーカーと小売をつなぐ流通の要
包装資材卸(中間流通業者)は、製造元であるメーカーと、実際に使用する小売・事業者(最終顧客)をつなぐ橋渡し役です。
大量ロットで納品される包装資材を一括で仕入れ、自社倉庫で在庫管理を行いながら、小ロットでの分割出荷や短納期対応を担うことが卸業者の大きな役割です。
加えて、卸業者は以下のような業務も担います。
・複数メーカーの商品をまとめて供給することで、ユーザーは一括発注が可能に
・代替提案や仕様変更のアドバイスなど、資材の専門知識を活かしたサポート
・繁忙期前の事前調達・在庫確保による安定供給体制の確保
これらの機能があるからこそ、包装資材は「必要なときに、必要な数だけ」使えるのです。
卸売価格の構造と業界特有の課題
包装資材卸のビジネスモデルは、メーカーからの仕入れ価格に一定のマージン(中間手数料)を加えて販売する「差額収益型」です。
しかし、その裏には以下のような3つの課題もあります。
1.仕入れ価格の変動と値付けの難しさ
資源価格や為替、需給バランスによって、原価が月単位で変動することもあります。
長期取引先との価格交渉や見積もり調整が日常的に発生します。
2.在庫リスクとスペースコスト
倉庫に保管するという性質上、保管コスト・人件費・劣化リスクなどの負担も発生します。
特にサイズが大きく回転率が低い資材は、管理面の負担が大きくなります。
3.価格競争の激化
同一商品を扱う卸業者が多いため、価格差で勝負せざるを得ないケースも増えています。
値崩れによる利益圧縮の問題は業界全体に広がっています。
卸の信頼が企業の安定供給を支える
包装資材卸は単なる仲介業者ではありません。
企業の生産・物流・販売活動を裏で支える戦略パートナーです。
提案力・在庫力・対応スピードの3点が信頼に直結し、ひいては製品が「届く」までの安定供給を陰から支えています。
包装資材小売(資材屋)の現場とは

多様な顧客と現場仕事のリアル
包装資材の小売店、いわゆる「資材屋」は、地域密着で飲食店・製造業・イベント業者・オフィスなど幅広い顧客に対し、必要な資材を少量から提供しています。
都市部の業務用資材店や地方の個人商店では、次のような業務が日常的に発生します。
・納品やルート配送(急な注文に即日対応することもある)
・在庫の管理と発注業務(売れ筋商品の欠品防止と棚の最適化)
・顧客ごとの見積作成や価格調整などの商談対応
・新商品の紹介や代替提案、季節やイベントに応じた売場づくりのアドバイス
たとえば「明日のイベントで使う紙コップが足りない」「急きょテイクアウトを始めることになった」といった突発的な依頼に対し、その場で渡せる対応力が重宝されています。
注文から納品までスピーディに行ってくれる業者もありますので、万が一に備えてそういった業者を知っておくことも重要になるでしょう。
小売の現場に求められるスキルと対応力
資材屋の仕事は単なる販売ではなく、顧客の悩みに応える提案営業でもあります。
具体的には以下のような対応力が求められます。
・店舗のジャンルや作業環境に合った資材を提案する選定力
・価格や納期、数量の交渉を通じて最適な仕入れを実現する調整力
・環境に配慮したエコ容器やトレンドに合ったパッケージへの感度と知識
近年では、SNS映えやブランド構築を意識したパッケージ提案も重要になっており、スタッフにも広い視野が求められます。
地域密着の資材屋が果たす役割
中小の包装資材店は、大手では対応が難しい細やかなニーズへの対応力が強みです。
地域の飲食店に対しては、個別サイズの在庫調整、手書き風ラベルの印刷支援、繁忙期の応援出荷といった対応が喜ばれています。
実際、当メディアを運営している「 I Love Paper Bag」では、電話やメールでの即時対応を行っており、最短4日で納品することが可能。
現場の声に素早く応えることでリピーターを獲得しております。
包装資材業界の今後の動向とは?

サステナブル需要の加速と柔軟な対応力が鍵に
包装資材業界は今、大きな転換期を迎えています。
以下に、課題とチャンスの両面から今後の動向を見ていきましょう。
業界全体の主な課題
環境規制の強化に伴い、資材に求められる条件が年々厳しくなっています。
たとえば、プラスチック資源循環法や容器包装リサイクル法の影響で、再生可能素材や紙素材の採用が急務となっています。
一方、現場では以下のような課題も浮き彫りになっています。
・石油やパルプといった原材料価格の高騰と乱高下
・消費者ニーズの多様化による「小ロット・多品種」対応の難しさ
・SDGsを意識した資材への切り替えとコストの両立
とくに脱プラスチックを意識した対応は、価格や性能とのバランスに苦慮する事業者も多く、「環境配慮×コスト圧縮」の両立が最大のテーマとなっています。
業界が注目すべき成長のチャンス
こういった変化は一方でチャンスでもあります。
特に以下のような動きに注目です。
・EC市場の成長に伴う「宅配用・簡易梱包資材」のニーズ拡大
・D2Cブランドの増加で「見た目にこだわったパッケージ」への需要が高まる
・環境素材(バイオマス・石灰由来・非木材紙)の技術革新と量産体制の進化
消費者の環境意識が高まるなか、パッケージそのものがブランドメッセージを担うようになり、「資材=マーケティング資産」として見なされるようになってきています。
変化の波に乗るために必要な視点
今後の包装資材業界では、以下のような姿勢が求められます。
・環境対応とコストの最適解を導ける提案力
・トレンドを読みながら汎用性の高い資材を扱う柔軟性
・印刷・加工・デザインを含めた総合的なソリューション提供
「資材を売る」から「価値を提案する」業界へと進化するなか、技術力と提案力のある企業が生き残るといえるでしょう。
単に安く販売するのではなく、お客様と相談しながら、ともに信頼関係を築いていける企業こそ、これからの時代に求められる存在です。
包装資材業界で働くには?向いている人・仕事内容のリアル

どんな仕事?どんな人が多い?
包装資材業界では、営業、製造、物流、企画など多様な職種が存在します。
具体的には以下の通り。
営業職
飲食店や工場などの法人顧客を相手に、用途やコストに応じた資材を提案・納品します。
現場を訪問して課題をヒアリングし、適切なアイテムを選定する提案力が求められます。
製造職
紙、フィルム、発泡素材などの原料を加工して、包装材を量産します。
機械操作や品質管理、納期管理など、工場ごとのオペレーションに対応できる力が重要です。
物流・倉庫管理職
全国の顧客に向けてスピーディに資材を供給するため、正確な在庫管理と配送計画が欠かせません。
向いている人物像とは?
現場で活躍しているのは、以下のようなタイプの人です。
・フットワーク軽く、臨機応変に対応できる人
・コスト意識を持ち、細かい仕様まで気を配れる人
・お客様と信頼関係を築くコミュニケーション力のある人
・目立たないけれど誰かの役に立つ仕事にやりがいを感じる人
とくに、飲食業やEC業界などの現場では「急ぎでこの容器がほしい」「もっと環境に優しい包装にしたい」といったニーズが日々発生するため、お客様の困りごとに寄り添える対応力が鍵になります。
まとめ
包装資材業界は、メーカー・卸・小売という3つの立場が連携しながら、私たちの生活を支える縁の下の存在です。
それぞれの役割や課題を理解することで、業界全体の仕組みや魅力が見えてきます。
とくに現場での信頼関係や迅速な対応力は、資材の流通をスムーズに保つ重要な要素です。
包装資材に関わる仕事に興味がある方や、仕入れ・選定に悩んでいる方は、まずは地域の資材屋さんや信頼できる卸・メーカーに相談してみてはいかがでしょうか。