消費者が商品を手に取る、その「一瞬」で印象が決まる。
それがパッケージデザインです。
しかし、手に取った方に好印象を持たれるような「売れる」パッケージデザインがどんなものなのか、わからない方も少なくないのではないでしょうか。
そこでこの記事では、パッケージデザインの基本からブランディングとの関係、ブランド価値を高める設計のコツ、売上との関係、そして業界別の成功事例までを詳しく紹介します。
戦略的な視点で活かす方法を学べますので、デザインをただの見た目で終わらせたくない方はぜひ最後まで読んでくださいね。
パッケージデザインとは?定義と基本的な役割

パッケージデザインとは、商品そのものを包む素材・形状・色彩・文字・図柄・ラベルなどの要素を視覚的に統一して構成し、ブランドメッセージや商品価値を伝えるデザインのことを指します。
単に「見た目を整える」作業ではなく、ブランド戦略・マーケティング戦略と直結する重要なプロセスであり、商品と消費者の接点をつくる最前線のコミュニケーションツールです。
パッケージの3つの基本的な役割
1. 商品の保護機能
輸送中や陳列中の破損や汚損を防ぐことはもちろん、遮光・防湿・密封などの保存性の確保もパッケージの重要な役割です。
特に食品・化粧品・医薬品などは、適切な包装が品質保持の鍵を握ります。
2. 情報伝達機能
原材料、成分、賞味期限、使い方、注意点などの法的表示事項だけでなく、商品コンセプト・製造者のこだわり・利用シーンの提案など、商品にまつわる情報を正しく・魅力的に伝える媒体として機能します。
3. 購買促進機能(マーケティングツール)
店舗やEC上で商品を手に取ってもらうためには、競合よりも目を引くデザインや、顧客ニーズを掴んだ訴求ポイントの表現が不可欠です。
色使いやフォント、形状の工夫などを通じて、「この商品を選びたい」と思わせる仕掛けを作ります。
無言の営業マン=パッケージデザイン
多くの購買が「数秒以内の直感的判断」によって決まるといわれる売場において、パッケージは消費者と直接対話する無言の営業マンのような存在と表現されます。
ブランドイメージに合ったデザイン、信頼感を与える情報の見せ方、ユーザー心理に寄り添ったカラーやキャッチコピーの配置。これらが絶妙に組み合わさることで、購入の意思決定に強く働きかけることが可能になります。
ブランディングの基本とパッケージ戦略

ブランディングとは?
ブランディングとは、企業や商品が持つ「価値」「個性」「世界観」を明確かつ一貫した形で発信し、ユーザーの記憶に残すことで信頼・共感を得ていくマーケティング戦略の一つです。
単なるロゴやキャッチコピーだけでなく、顧客体験のすべてにおいてブランドらしさを浸透させることが求められます。
ブランディングが企業にもたらす3つのメリット
①価格競争からの脱却
類似商品との単純な価格比較ではなく、「そのブランドだから買う」という選択肢を生み出せる。
②長期的なファンとの関係構築
一度の購入で終わらず、リピート購入やSNSでのシェア・紹介へとつながる。
③ブランドロイヤリティの形成
消費者がブランドに信頼を寄せ、多少価格が高くても選ばれる状態をつくる。
今や「機能的に優れているだけ」では選ばれにくい時代。ブランドのストーリーや価値観に共感できるかが、購買行動を左右する大きな要因となっています。
パッケージデザインが担うブランディングの役割
ブランディングは、Webサイト・SNS・広告・販売員の接客など、複数のタッチポイントを通じて構築されますが、最も直接的かつ物理的な接点が「パッケージデザイン」です。
消費者は商品を手に取ったとき、わずか数秒で購入判断を下します。
その瞬間に、パッケージが次の3つのようなブランディングの役割を果たします。
1. ブランドの世界観を視覚で伝える
色・形・素材・印刷・タイポグラフィなどの要素によって、ブランドの雰囲気や価値観を一瞬で伝える(例:ナチュラル・高級・エコ志向など)。
2. 商品の差別化ポイントを明確にする
似たような商品が並ぶ棚の中で、「このブランドは他と違う」と印象づけるには、パッケージによる情報設計や訴求軸の明示が不可欠です。
3. 共有・拡散される見た目をつくる
SNS時代の今「思わず写真を撮りたくなるパッケージデザイン」は、無料のプロモーションツールにもなります。
ビジュアル性とブランド価値を同時に高められる設計が求められるため、妥協せずにこだわりたいポイントです。
当ブログを運営するI Love Paper Bagでは、セミオーダーやフルオーダーでパッケージを制作することが可能。
小ロットでの対応も行っていますので、ご予算に合わせてオリジナルデザインのパッケージを作ることができます。
ブランディングで意識すべき3つのポイント

パッケージデザインをブランド戦略に活かすためには、「なんとなくオシャレに見せる」だけでは不十分です。
見る人の心に響く、説得力のあるパッケージを設計するには、以下の3つを明確にする必要があります。
パッケージデザインをブランディングに活かす最大のポイントを具体的に言えば「誰に、何を、どう伝えたいか」を明確にし、全体のトーン&マナーを統一することが重要。
・ブランドの核が伝わり
・ターゲットの共感を得て
・ブランド体験としての一貫性がある
この3つが揃ったとき、パッケージは単なる包装ではなく、記憶に残るブランド資産へと進化します。
それぞれについて細かく確認していきましょう。
1. ブランドの「核(コア)」を言語化する
まず初めにすべきは、そのブランドが何を大切にしているのか、どんな価値観を体現しているのかを明文化することです。
これはブランディングの軸となる要素であり、すべてのデザイン・発信に一貫性を持たせる土台になります。
たとえば……
ナチュラル志向:
自然素材やオーガニック、優しい配色など
ラグジュアリー志向:
高級感のある光沢紙、箔押し、重厚感あるロゴなど
ファンシー&ポップ:
パステルカラー、イラスト、遊び心のある形状など
このコアが定まっていないと、どれだけデザインが美しくても「伝わらない」「覚えてもらえない」パッケージになってしまいますのでご注意ください。
2. 顧客ターゲットを具体的に定める
どんなに洗練されたデザインでも、見る人=ユーザーの心に響かないと意味がありません。
以下のような切り口で「誰に買ってもらいたいのか」を明確にしておきましょう。
・年齢層(例:20代女性/30〜40代男性)
・ライフスタイル(例:自然派志向/都会的でミニマル志向)
・使用シーン(例:ギフト用途/自分用の日常使い)
ターゲットを絞ることで、デザインの方向性・色使い・パッケージの形状や開けやすさなどがブレなくなります。
3. ブランド全体との一貫性を持たせる
パッケージは、Webサイト・SNS・広告・店頭ディスプレイ・店舗内装などの「ブランド体験全体」の一部です。
たとえば……
・パッケージがナチュラルなのに、Webサイトがギラギラだと違和感がある
・店頭では高級路線なのに、SNSではポップすぎると統一感に欠ける
というように、「ブランドらしさ」を一貫して伝える工夫が重要です。
すべての接点(タッチポイント)で世界観がブレていないか、定期的にチェックすることが、ブランドの信頼感・安心感の醸成につながります。
ブランド価値を高めるパッケージデザインの設計ポイント

① 競合との差別化を意識する
棚に並ぶ商品の中で選ばれるには、似たような商品とのビジュアル面での差別化が不可欠です。
・色使い
・形状(ユニークなボトル・箱)
・触感(マット加工・エンボス加工)
デザインに自信がない方でもI Love Paper Bagのセミオーダーなどを利用して、魅力的なデザインを作り上げましょう。
② 消費者心理に訴えかけるデザイン要素
以下は、デザインの一例です。
高級感を演出したいなら?
黒・ゴールド・マット加工
安心感を与えたいなら?
柔らかい色合い+手書き風フォント
シズル感(美味しさ)を伝えたい?
写真・質感表現が重要
視覚情報が与える印象は、わずか数秒で購買行動を左右するほど強力です。
これらを参考にしつつ、オリジナリティのある配色・デザインを考えてみましょう。
③ 環境(サステナビリティ)を意識した素材選び
近年の消費者は環境への配慮も価値の一部として評価します。
I Love Paper Bagでは、希望に応じて以下のような素材を使用したパッケージも承っております。
・FSC認証紙
・バガス紙・竹紙など非木材系素材
・バイオマス系プラスチック
素材選びそのものが企業姿勢の発信ツールになります。
SDGsや環境を意識した素材につきましては、こちらの記事も合わせてご覧ください。
パッケージデザインが売上に与える影響

視覚による印象形成
初見の印象は商品価値のイメージに直結。
高級感、安心感、機能性、楽しさなど、視覚で感じる価値が価格納得感に大きく影響します。
リピート購入の導線になる
「また買いたい」と思ってもらうには、視認性と記憶性が重要。
棚やサイトで見つけやすく、印象に残るデザインが再購入を後押しします。
一貫したデザインがロイヤリティを育てる
シリーズ商品やブランド全体でデザインの世界観を揃えることで、顧客のブランド愛を育てる導線にもなります。
業種別の成功事例
Campbell’s(食品・スープ缶)
赤×白のクラシックデザインは、1950年代からほぼ変わらず継続。
視認性・信頼性・ブランド遺産として機能し、アート(ウォーホル)にも昇華されるほど認知度が高い。
Chanel No.5(化粧品・香水)
極限までシンプルにそぎ落とされたボトルデザイン。無駄のない美がブランドの哲学そのもの。
ミニマル×高級感が全体戦略と一致している。
Tiffany & Co.(ジュエリー)
ティファニーブルーという色そのものがブランドに。
パッケージを見るだけで「ときめき」や「プレミアム感」を想起させる。
McDonald’s(ファストフード)
国や地域によってキャンペーン時に限定デザインを展開。
視覚的な変化でSNSでの拡散や新規集客に貢献。
I LOVE PAPER BAG
パッケージ制作の注意点(素材・印刷・納期)
素材選び
商品の性質(食品/化粧品/雑貨など)に応じて、防湿性・耐久性・輸送適正を考慮。
印刷方式の確認
・小ロット向け:オンデマンド印刷
・大量生産向け:オフセット印刷
・高級感重視:箔押し/エンボス/UV加工
それぞれに合わせて印刷の方法も変えましょう。
納期・ロット数の調整
短納期だと印刷方式が限られる、小ロットだと単価が上がるなど、仕様とスケジュールのバランスが大切。
予算内で希望通りのものが作れるのか、気軽に問い合わせてみるのも一つの方法です。
セミオーダー・テンプレート活用も検討
I Love Paper Bagを含め、多くの制作会社ではセミオーダーというシステムも採用しています。
既存のテンプレートを使うことでフルオーダーよりもコストを抑えつつ、ブランドに合ったオリジナリティを持たせられる手法として人気の方法です。
例えば「テンプレート+名入れ」だけでもブランド感をしっかり表現できるサービスが充実していますのでそちらもご利用ください。
まとめ
パッケージデザインは、単なる“見た目”ではなく、
ブランドの価値を伝え、顧客との最初の接点をつくる戦略的ツールです。
印象に残るパッケージ”が、忘れられないブランドになりますので、この記事を参考にその最初の一歩を、始めてみましょう。